大学中退から正社員になるのは難しい?企業が気にするポイント
「大学中退」という経歴に、強い引け目を感じている人は少なくありません。たしかに、新卒の就活ルートに乗れないことや、応募できる求人が大卒者より限られることなど、不利になる場面はあります。ただ、20代の採用では学歴よりも人柄や働く意欲、これからの伸びしろを重視する企業も多く、中退から正社員になること自体は十分に現実的です。
そのうえで、面接官が中退者に対して確認したいと考えやすいポイントは、おおむね次の3つです。
面接官が確認したいと考えやすい3つのポイント
- 中退の理由:何があって辞めたのか。人のせいや環境のせいにしていないか
- 同じことを繰り返さないか:入社しても、合わないと感じたらすぐに辞めてしまわないか
- 中退後の過ごし方:辞めてから今までの期間に何をしてきたか、なぜ今就職したいのか
つまり、見られているのは「中退したかどうか」よりも、その出来事をどう受け止めて、次にどう動いたかです。この3点に筋の通った答えを用意できれば、中退の経歴は必要以上に重いハンデにはなりません。
中退後の学歴の扱い|応募できる求人と「大卒以上」の壁
就活を始める前に、自分の学歴がどう扱われるかを正しく理解しておきましょう。大学を中退した場合、一般に最終学歴は大学に入学する前の学校(多くの場合は高校)の卒業として扱われます。大学に在籍していた事実は履歴書に書きますが、学歴の区分としては「高卒」と同じ扱いになると考えておくのが基本です。
| 求人の応募条件 | 大学中退の場合の目安 |
|---|---|
| 学歴不問 | 応募できる。学歴より人柄や意欲を重視する求人が多い |
| 高卒以上 | 応募できる。中退者が最も多く応募するゾーン |
| 専門・短大・高専卒以上 | 原則として対象外。ただし企業によっては相談に応じる場合もある |
| 大卒以上 | 原則として対象外と考えておく |
「大卒以上」の求人に応募できないのは、正直に言えば中退の大きなデメリットです。ただ、営業職や販売・サービス職、施工管理などの技術職、ITエンジニア、事務職など、学歴不問や高卒以上で募集している正社員求人は幅広くあります。最初から「大卒以上」の求人ばかりを見て落ち込むより、応募できる求人のなかから、自分に合う仕事を探すほうが結果的に早く決まりやすくなります。
学位が必要な仕事を目指すなら「学び直し」も選択肢
どうしても大卒資格が必要な職種を目指したい場合は、元の大学への再入学や、通信制大学・夜間の大学で学位を取り直す方法もあります。ただし、制度の有無や単位の扱いは学校ごとに異なり、時間も費用もかかります。働きながら学ぶのか、先に就職を優先するのかは、目指す仕事に本当に学位が必要かを確かめてから判断しましょう。
大学中退から正社員を目指す進め方5ステップ
中退から正社員を目指すときは、次の順番で進めると迷いにくくなります。
- 中退の理由を整理する:何があって辞めたのかを、事実ベースで紙に書き出す。きれいな理由にしようとせず、まずは正直に
- 中退後の過ごし方を棚卸しする:アルバイト、資格の勉強、家の事情への対応など、辞めてから今までにしてきたことを時系列で並べる
- 働くうえで大事にしたいことを決める:仕事内容、働く場所、勤務時間など、譲れない条件を2〜3個に絞る
- 応募できる求人を探して、複数並行で応募する:学歴不問・高卒以上の求人を中心に、未経験歓迎の正社員求人を探す
- 面接で話す内容を準備して練習する:中退の理由、今就職したい理由、志望動機を、声に出して話せるようにしておく
特に1と2は、あとで履歴書や面接の答えを考えるときの土台になります。ここを飛ばして求人を探し始めると、面接で中退について聞かれたときに言葉に詰まりやすくなるため、最初に少し時間をかけておきましょう。
\ 中退の経歴、どう伝えればいいか迷ったら /
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中退者が応募先を選ぶときの考え方
応募先を選ぶときは、「中退でも受かりそうな会社」という基準だけで選ばないことが大切です。入社後にまた「合わない」と感じて辞めてしまうと、面接官が心配していた点をそのまま繰り返すことになってしまいます。
「人物重視」「未経験歓迎」の求人を中心に見る
学歴不問の正社員求人には、入社後の研修を前提に未経験者を育てる方針の会社が多くあります。求人票に研修の内容や、先輩社員の経歴が書かれている会社は、経験の浅い人を受け入れる体制が整っている目安になります。
大学で学んだことや、興味を持った分野を手がかりにする
中退したとはいえ、大学で学んだことや、そこで興味を持ったことはあなたの経験です。たとえば情報系の学部にいた人がITの仕事を目指す、経済学部にいた人が営業職を目指すなど、大学での学びと志望理由がつながっていると、話に一貫性が出ます。反対に、大学の分野が合わなかったことが中退のきっかけなら、その反省を踏まえて別の分野を選んだ理由を説明できるようにしておきましょう。
条件の確認は入社前に必ずする
早く決めたい気持ちから、給与や休日、残業時間などの条件をよく確認しないまま入社を決めてしまう人もいます。気になる点は内定後に労働条件の書面で確認し、わからないことは入社前に質問しておきましょう。
履歴書の書き方と、中退してから今までの期間の伝え方
履歴書の学歴欄では、中退の事実を隠さずに書きます。中退を書かずに「在学」や「卒業」のように見える書き方をすると、あとで経歴詐称と受け取られるおそれがあります。
学歴欄の書き方の例
20XX年3月 〇〇県立〇〇高等学校 卒業
20XX年4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
20XX年9月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 中途退学
中退の理由は、学歴欄に一言添える書き方もありますが、長く書く必要はありません。履歴書では事実だけを正確に書き、理由は面接で自分の言葉で説明するほうが伝わりやすくなります。
中退後の期間は「何をしていたか」を具体的に
中退してからアルバイトをしていた場合は、職歴欄や自己PR欄で、どんな仕事をどれくらいの期間続けてきたかを書きましょう。正社員としての職歴でなくても、長く続けたことや任されるようになった仕事は、働く姿勢を伝える材料になります。
「大学中退後は、飲食店でアルバイトをしていました。」
「大学中退後の2年間、飲食店のアルバイトとして週5日勤務しました。1年目の後半からは新人スタッフへの仕事の説明を任され、シフト作成の補助も担当しています。」
面接で「なぜ大学を中退したのか」への答え方と例文
中退者の面接では、ほぼ確実に「なぜ大学を中退したのですか」と聞かれます。答えるときは、次の3つの流れを意識すると話がまとまりやすくなります。
- 理由は短く、正直に伝える:勉強についていけなかった、学びたいことと違った、経済的な事情など、事実を一文で
- 自分の判断や行動を振り返る:「当時は〜と考えていたが、今振り返ると〜だった」と、人や環境のせいにせず自分の言葉で
- 今、働きたい理由につなげる:中退後の経験から何に気づき、なぜこの仕事を選んだのかで締める
例文1:学びたいことと違うと感じて中退した場合
大学では法学部に入学しましたが、周りに合わせて学部を選んだこともあり、授業に興味を持てないまま2年目の途中で中退しました。今振り返ると、自分が何をしたいのかを考えずに進路を決めていたことが一番の原因だったと思います。中退後は飲食店のアルバイトを2年間続けるなかで、お客様の要望をくみ取って提案することにやりがいを感じるようになりました。この経験を仕事として深めたいと考え、提案型の営業を行う御社を志望しています。
例文2:経済的な事情で中退した場合
家庭の経済的な事情で学費を続けて払うことが難しくなり、大学3年の途中で中退しました。中退後は家計を支えるために物流倉庫でアルバイトとして働き、昨年からは新しく入った人の作業指導も任されています。働くなかで、決められた手順を正確に守りながら、より効率よく進める工夫を考えることが自分に合っていると感じました。今後は正社員として長く働き、責任のある仕事を任されるようになりたいと考えています。
「大学の授業がつまらなかったので辞めました。正直、通う意味を感じませんでした。」
「学部を深く考えずに選んでしまい、学ぶ目的を見失って中退しました。その反省から、今回は自分が続けられる仕事かどうかを考えたうえで御社を選んでいます。」
体調や家庭の事情など、詳しく話したくない理由で中退した場合は、すべてを説明する必要はありません。「体調を崩して通学が難しくなりました。現在は回復しており、仕事に支障はありません」のように、今は働ける状態であることを中心に伝えれば十分です。
大学中退から就職するときのよくある質問
大学を中退した学歴は、履歴書でどう書けばいい?
学歴欄に入学の行と「〇〇大学〇〇学部〇〇学科 中途退学」の行を書きます。中退を書かずにいると経歴詐称と受け取られるおそれがあるため、正直に記載し、理由は面接で前向きに説明しましょう。
大学中退でも「大卒以上」の求人に応募できる?
応募条件が「大卒以上」となっている求人は、原則として応募の対象外と考えたほうがよいでしょう。ただし「学歴不問」「高卒以上」の求人は多くあるため、まずはそちらを中心に探すのが現実的です。
中退してから何年も経っていると、就職は難しくなる?
期間が長いほど、その間に何をしていたかを聞かれやすくなります。ただ、アルバイトなどで働いていた経験は伝え方次第で評価につながります。20代のうちは未経験歓迎の求人も多いので、早めに動き出すことが大切です。
まとめ|中退した事実より、そこから何を選んだかが見られている
大学を中退すると、一般に最終学歴は高校卒業として扱われ、「大卒以上」の求人には応募しにくくなります。それでも、学歴不問や高卒以上で募集している正社員求人は幅広くあり、20代であれば人柄や意欲を重視してもらえる場面も多くあります。
まずは中退の理由と、中退してから今までの過ごし方を整理し、履歴書には事実を正確に書きましょう。面接では理由を短く正直に伝え、そこから何を学び、なぜ今この仕事を選んだのかを自分の言葉で話すことが大切です。中退した事実は変えられませんが、そこからどう動くかは今から選べます。
\ 中退の経歴があっても、正社員は目指せる /
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キャリアアドバイザーからのコメント
中退された方とお話ししていると、「中退の理由をうまくごまかせる言い方はありませんか」と聞かれることがよくあります。でも、面接官が知りたいのは立派な理由ではなく、その経験をどう受け止めているかです。「当時の自分は甘かった」と認めたうえで、そこから何を変えたのかを話せる方は、むしろ誠実な印象を残しています。
もうひとつ、中退してから時間が経つほど「今さら」と動き出しにくくなりがちです。応募できる求人は思っているより多いので、一人で抱え込まずに、まずは話を整理するところから一緒に始めましょう。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・未経験層の転職支援を担当