第二新卒の転職で年収が上がるか下がるかは「何を変えるか」で決まる

「第二新卒で転職すると年収が下がる」とよく言われますが、これは半分正しく、半分は誤解です。社会人1〜3年目の給与は、もともと新卒の初任給から大きく離れていないことが多く、転職先でも同じくらいの水準からスタートするケースが少なくありません。

年収が上がるか下がるかを分けるのは、年齢や在籍期間よりも、転職で「何を変えるか」です。職種・業界・働き方のうち、どれを変えてどれを変えないかで、提示される条件の傾向はかなり変わります。

年収への影響を考えるときの3つの軸

  • 職種:同じ職種で経験を生かすのか、未経験の職種に挑戦するのか
  • 業界・会社の規模:業界全体や会社ごとの給与水準が、今と比べて高いか低いか
  • 働き方:残業時間、休日数、勤務地、夜勤やシフトの有無が変わるか

「年収」と「手取り」は分けて考える

転職の相談で「給料が下がった気がする」という声の中には、年収そのものではなく手取りの変化が原因のものもあります。代表的なのが住民税です。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、新卒1年目はほとんど引かれず、2年目から天引きが始まるのが一般的です。ちょうど第二新卒で転職を考える時期と重なるため、「転職したら手取りが減った」と感じやすいのです。

求人票の金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」で書かれています。手取りは額面より少なくなるので、生活費の計算は手取りベースで考えるようにしましょう。

年収が下がりやすい3つのパターン

第二新卒の転職で年収が下がりやすいのは、主に次の3つのパターンです。どれも「悪い転職」というわけではなく、何かを得る代わりに年収が一時的に下がる、と捉えるのが実態に近いです。

パターン1:未経験の職種に挑戦する

営業から事務、販売からITエンジニアなど、未経験の職種に移る場合は、前職の経験が給与に反映されにくく、新卒に近い水準からのスタートになりやすいです。その代わり、経験を積めば昇給していく余地があります。

パターン2:残業や手当が多い働き方から離れる

前職の給与に残業代・夜勤手当・営業手当などが多く含まれていた場合、基本給が同じでも、働き方が落ち着くぶん年収は下がります。「年収が下がる」のではなく「働く時間が減るぶん、受け取る総額が減る」という構造なので、時給に換算して比べると印象が変わることもあります。

パターン3:給与水準が高めの業界・会社から移る

新卒で入った会社が、業界全体として給与水準の高いところだった場合、別の業界に移ると同じ職種でも下がることがあります。大手企業から中小企業へ移る場合も、賞与や手当の差で年収が変わりやすいポイントです。

パターン下がる理由得られるもの
未経験職種への挑戦前職の経験が評価に反映されにくい新しい専門性、将来の選択肢
残業・手当の多い働き方から離れる残業代や手当の分が減る時間のゆとり、体調の安定
給与水準の高い業界・会社から移る業界・会社ごとの給与テーブルの差やりたい仕事、働く環境の改善

年収が上がりやすい・維持しやすいパターン

一方で、第二新卒でも年収を維持したり、上げたりできるケースはあります。共通しているのは、前職の経験がそのまま次の仕事で評価されることです。

  • 同じ職種のまま、給与水準の高い業界・会社に移る:たとえば営業経験を生かして、扱う商材の単価が高い業界に移るケース
  • 前職の給与が相場より低かった:初任給や昇給の仕組みが控えめな会社から移る場合は、同じ職種でも上がることがある
  • 資格やスキルを持っている:業務に直結する資格や、実務で使ってきたツールの経験があると、提示額に反映されやすい
  • 成果に応じた報酬がある職種を選ぶ:インセンティブのある営業職などは、成果しだいで年収が伸びる可能性がある(ただし変動も大きい)

ただし「年収が上がる転職」だけを軸に選ぶと、仕事内容や働き方のミスマッチで再び転職を考えることになりかねません。年収は大切な条件のひとつですが、転職の目的と矛盾していないかは必ず確認しておきましょう。

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求人票の「年収」を正しく読むためのチェックポイント

求人票に書かれた「年収○○万円〜」という数字だけを見て比べると、入社後に「思っていたのと違う」となりがちです。給与欄では、次のポイントを必ず確認しましょう。

基本給と手当の内訳

月給の中に、基本給と各種手当がどう含まれているかを確認します。賞与や退職金は基本給をもとに計算されることが多いため、月給が同じでも基本給の割合で将来の受け取り額が変わります。

固定残業代(みなし残業代)

一定時間分の残業代があらかじめ月給に含まれている仕組みです。何時間分がいくらなのか、超えた分は別途支払われるのかを確認しましょう。前職の月給と比べるときは、この分を除いた金額で比べるのが公平です。

賞与(ボーナス)

「年2回」「昨年度実績○ヶ月分」などと書かれていても、会社の業績や個人の評価で変わるのが一般的です。

年収例・モデル年収

「入社3年目・○○万円」などの例は、その会社で実際に想定される一例です。自分と同じ年齢・経験の人の例なのか、入社何年目の数字なのかを確かめましょう。

試用期間中の条件

試用期間中は給与や待遇が本採用後と異なる場合があります。期間の長さと、その間の条件が求人票に書かれているかを確認します。

求人票だけで分からない部分は、面接の逆質問や内定後の条件確認で聞いて構いません。入社前には労働条件が書面で示されるので、内容を確認してから承諾するようにしましょう。労働条件の明示に関するルールの詳細は、厚生労働省などの公式情報で最新の内容を確認してください。

面接で希望年収を聞かれたときの答え方と例文

面接や応募フォームで「希望年収はありますか」と聞かれることがあります。企業が確かめたいのは、提示できる条件と本人の希望が大きくずれていないかです。高すぎても低すぎても、あとで話が噛み合わなくなります。

答えるときは「現在の年収」→「希望(または最低ライン)」→「柔軟さ」の順で伝えるのが基本です。現在の年収は、賞与や残業代を含めた額面を、源泉徴収票や給与明細で確認しておきましょう。

NG

できれば今より上がるとうれしいです。特に決めてはいませんが、なるべく高いほうがいいです。

OK

現在の年収は、残業代と賞与を含めて額面で約○○万円です。一人暮らしのため、生活の面から○○万円程度は確保できるとありがたいのですが、未経験からのスタートであることは理解しておりますので、最終的には御社の規定に沿ってご判断いただければと考えています。

経験を生かす転職で、希望を伝えたい場合の例文

回答例(同じ職種で応募する場合)

現在の年収は額面で約○○万円です。前職で担当してきた法人営業の経験をそのまま生かせる職種ですので、現年収と同程度以上を希望しております。ただ、金額だけで判断するつもりはなく、評価や昇給の仕組みも含めて検討したいと考えていますので、ご教示いただけますと幸いです。

どちらの例も、金額を伝えるだけで終わらせず、「なぜその金額なのか」と「条件以外も見ている」ことを一言添えているのがポイントです。

内定後の条件確認では「仕組み」を聞く

内定後に提示された条件に疑問がある場合は、条件確認の場で相談しても失礼にはあたりません。第二新卒の場合は給与テーブルに沿って金額が決まることが多いため、金額の上乗せを求めるより、昇給の時期、評価の基準、賞与の決まり方を聞いておくほうが、入社後の見通しを立てやすくなります。

年収が下がっても転職していいかの判断基準

年収が下がる可能性があると分かったとき、転職をやめるべきかどうかは、金額だけでは決められません。次の3つの視点で考えてみましょう。

  1. 生活が成り立つか 手取りベースで、家賃・食費・奨学金の返済などの固定費をまかなえるか。貯金を切り崩す期間がどれくらいになるか
  2. 数年後に取り戻せる見通しがあるか 昇給の仕組みや、経験を積んだ人のモデル年収を見て、数年単位で伸びていく道筋があるか
  3. 下がる代わりに何を得られるか 時間のゆとり、身につく専門性、心身の安定など、年収と引き換えに手に入るものが転職の目的と合っているか

3つのうち「生活が成り立つか」は最低条件です。ここが崩れると、次の職場でも焦りから判断を誤りやすくなります。そのうえで、2と3に納得できるなら、一時的に年収が下がる転職も前向きな選択肢になります。

「今の年収を守るために我慢する」のも一つの選択

反対に、今の職場の年収に満足していて、辞めたい理由が一時的なものなら、すぐに転職せず異動の相談や働き方の調整を試すのも立派な判断です。第二新卒の転職は、焦って決めるより、自分が何を優先したいかを言葉にしてから動くほうが、後悔が少なくなります。

キャリアアドバイザーからのコメント

第二新卒の方から「年収が下がるなら転職しないほうがいいですか」と聞かれることはとても多いです。そのとき必ずお聞きするのが、「今の年収は、何と引き換えにもらっているものですか」という質問です。

長い残業や体調の不安と引き換えの年収なら、少し下がっても働き方を変える価値は十分にあります。逆に、仕事内容に大きな不満がないなら、年収を下げてまで急いで動く必要はないかもしれません。金額を比べる前に、その金額の「中身」を比べてみてください。

Career Vision キャリアアドバイザー

20代・未経験層の転職支援を担当

第二新卒の年収に関するよくある質問

第二新卒の転職で、年収が下がるのはよくあること?

未経験の職種や業界に移る場合は、一時的に下がることは珍しくありません。一方で、同じ職種で経験を生かす転職や、給与水準の高い業界・会社への転職では、維持や増加も十分にありえます。

希望年収は、前職より高めに伝えたほうがいい?

根拠なく高く伝えると、条件が合わないと判断されやすくなります。現在の年収を正確に伝えたうえで、生活に必要な最低ラインを示し、それ以外は応募先の規定に合わせる姿勢を見せるほうが、選考も条件の話し合いも進めやすくなります。

内定後に年収の交渉をしてもいい?

内定後の条件確認の場で、根拠を添えて相談するのは失礼ではありません。ただし第二新卒は給与テーブルに沿って決まることも多いため、金額だけでなく昇給の仕組みや評価の時期もあわせて確認すると判断しやすくなります。

まとめ|目先の金額より「数年後の伸びしろ」で選ぶ

第二新卒の転職で年収が上がるか下がるかは、職種・業界・働き方のうち、何を変えるかで大きく変わります。未経験の職種に挑戦する場合や、残業の多い働き方から離れる場合は一時的に下がりやすく、経験を生かせる転職では維持や増加も見込めます。

求人票を見るときは、基本給と手当の内訳、固定残業代、賞与の扱いを確認し、額面ではなく手取りで生活が成り立つかを考えましょう。面接で希望年収を聞かれたら、現在の年収・希望の根拠・柔軟さの3点をセットで伝えるのが基本です。

目先の金額だけで判断せず、数年後にどう伸びていけるか、年収と引き換えに何を得られるかまで含めて選ぶことが、後悔しない転職につながります。

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