派遣・契約社員から正社員になるのは難しい?企業の見方

「派遣や契約社員の経歴だと、正社員の選考では相手にされないのでは」と不安に感じる人は少なくありません。ですが、企業の採用担当者が見ているのは雇用形態の名前より、実際にどんな仕事をして、何ができるようになったかです。派遣社員や契約社員として担当した業務は、正社員と同じように職歴として扱われます。

特に20代であれば、経験の量よりも働く姿勢や伸びしろを重視する求人も多くあります。一方で、面接官が確認したいと考えやすいポイントもあります。

面接官が確認したいと考えやすい3つのポイント

  • 任された業務の範囲:決められた作業をこなしていただけか、自分で判断して進めた部分はあるか
  • 正社員を目指す理由:雇用の安定だけが目的ではないか、責任ある仕事を引き受ける気持ちはあるか
  • 長く働く意思:これまでの働き方と比べて、今回は腰を据えて働くつもりがあるか

逆に言えば、この3つに自分の言葉で答えられれば、非正規の経歴は弱みになりにくいということです。むしろ社会人としての基本的な働き方が身についている点は、職歴のない既卒の応募者と比べて強みにもなります。

正社員になる3つのルート|登用・紹介予定派遣・転職を比較

派遣社員や契約社員から正社員になる道は、大きく分けて3つあります。それぞれに向き・不向きがあるため、今の状況に合うものを選びましょう。

ルートどんな方法か向いている人
今の職場で正社員登用・直接雇用契約社員から正社員への登用制度を利用する。派遣社員の場合は、派遣先に直接雇用してもらう今の仕事内容や職場の人間関係に満足していて、登用の実績もある人
紹介予定派遣一定期間派遣社員として働いたあと、本人と企業が合意すれば直接雇用に切り替わる働き方職場の雰囲気や仕事との相性を確かめてから入社を決めたい人
転職で正社員になる正社員の求人に応募して、選考を受けて入社する今の職場に正社員の道がない人、仕事内容や業界を変えたい人

どのルートが正解ということはありません。ただし、「今の職場で声がかかるのを待つ」だけを選択肢にしてしまうと、時間だけが過ぎてしまうことがあります。登用を目指す場合も、期限を決めておき、見込みが立たなければ転職に切り替えるといった形で、自分で動ける余地を残しておくのがおすすめです。

紹介予定派遣は「直接雇用=正社員」とは限らない

紹介予定派遣は、派遣期間中にお互いの相性を確かめられるのが利点です。一方で、派遣期間が終わったあとに直接雇用されるかどうかは双方の合意によるため、必ず採用されるわけではありません。また、直接雇用後の雇用形態が契約社員というケースもあります。応募前に直接雇用後の雇用形態や条件を派遣会社に確認しておきましょう。

今の職場で正社員を目指すときに確認したいこと

今の職場で正社員を目指す場合は、気持ちだけで待ち続けるのではなく、事実を確認するところから始めましょう。

登用制度は「あるか」より「実績があるか」

求人票や就業規則に「正社員登用制度あり」と書かれていても、実際の登用はごく少ないという職場もあります。確認したいのは、ここ数年で実際に登用された人がいるか、どんな条件や試験があるかです。派遣社員の場合は、派遣先に直接聞く前に、まず派遣元の担当者に相談するのが一般的です。

派遣の期間制限や無期転換を「正社員になれる制度」と思い込まない

派遣社員には、同じ職場の同じ部署で働ける期間に上限があるといったルールがあり、契約社員にも、同じ会社で契約更新を重ねると無期雇用への切り替えを申し込めるルールがあります。いずれも働く人を守るための仕組みですが、無期雇用になることと正社員になることは同じではありません。契約期間がなくなっても、仕事内容や給与などの条件は変わらないことがあります。

正社員

期間の定めのない雇用で、一般に昇給や賞与、異動や責任範囲の広がりなどを前提とした働き方。具体的な待遇は会社ごとに異なります。

無期雇用

契約期間の定めがない雇用。契約更新の不安はなくなりますが、待遇が正社員と同じになるとは限りません。

直接雇用

派遣会社を通さず、働いている会社と直接契約すること。雇用形態は正社員の場合も、契約社員の場合もあります。

これらのルールの細かな条件や例外は、契約の内容や法律の改正によって変わることがあります。自分に当てはまるかどうかは、厚生労働省などの公式情報で最新の内容を確認したうえで、派遣元や勤務先の担当者に問い合わせてください。

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転職で正社員を目指すときの進め方

今の職場で正社員になる見込みが薄い場合や、仕事内容そのものを変えたい場合は、転職で正社員を目指すのが現実的です。次の順番で進めると迷いにくくなります。

  1. 契約期間と退職のタイミングを確認する:契約の終了日や、更新しない場合はいつまでに伝える必要があるかを確認する。途中で辞める場合のルールも契約書で見ておく
  2. これまでの業務を書き出す:担当した業務、使ったツール、1日の流れ、任されるようになったことを箇条書きにする
  3. 経験が生きる求人と、未経験歓迎の求人の両方を見る:同じ職種で正社員を目指すか、職種を変えるかで応募先の探し方が変わる
  4. 在職中に応募を始める:収入が途切れない状態のほうが、焦って条件の合わない会社を選びにくい

派遣社員の場合、契約期間の途中で辞めると派遣先にも影響が出るため、できるだけ契約の区切りに合わせて退職のタイミングを考えるのが無難です。内定が出たら、入社日を決める前に派遣元の担当者に早めに相談しましょう。

派遣・契約社員の経験を書類と面接で伝えるコツ

非正規の経験を評価してもらえるかどうかは、伝え方で大きく変わります。「派遣で事務をしていました」だけでは、何ができる人なのかが相手に伝わりません。

履歴書の職歴欄の書き方

派遣社員の場合、雇用契約を結んでいるのは派遣元の会社です。履歴書の職歴欄には、派遣元に登録したことと、どの派遣先でどんな業務をしたかの両方がわかるように書きましょう。たとえば「株式会社〇〇(派遣元)に派遣社員として登録」「株式会社△△に派遣、営業事務を担当」のように書くと伝わりやすくなります。契約社員の場合は、入社の行に「契約社員として入社」と雇用形態を添えます。

職務経歴書では「任されたこと」と「工夫したこと」を書く

職務経歴書では、担当業務を並べるだけでなく、どこまで任されていたか、自分なりにどんな工夫をしたかを具体的に書くのがポイントです。数字で表せることがあれば添えると、仕事の規模が伝わりやすくなります。

NG

「派遣社員として、データ入力や電話対応などの一般事務を担当しました。」

OK

「営業部の事務として、受注データの入力と請求書の作成を担当しました。入力ミスを減らすため、確認項目をチェックリストにまとめて部内で共有し、半年後からは新しく来た派遣スタッフへの業務説明も任されるようになりました。」

「なぜ派遣(契約社員)で働いていたのか」への答え方と例文

正社員の面接では、「なぜ派遣(契約社員)を選んでいたのですか」と聞かれることがよくあります。答えるときは、次の3点を押さえると伝わりやすくなります。

  1. 当時の理由は短く正直に伝える:就活がうまくいかなかった、働きながら方向性を考えたかったなど、事実を一文で
  2. その期間で得たものを伝える:身についたスキルや、仕事への向き合い方の変化を具体的に
  3. 今、正社員を目指す理由を前向きに伝える:「より責任のある仕事を任されたい」など、仕事内容に関わる理由を中心に

例文1:新卒の就活がうまくいかず派遣で働き始めた場合

大学卒業時の就職活動では内定が得られず、まずは働きながら経験を積もうと考えて派遣社員として事務の仕事を始めました。2年間、受注データの管理や請求書の作成を担当するなかで、正確さとスピードを両立させる工夫を重ねてきました。今後は決められた業務をこなすだけでなく、業務の改善にも責任を持って関わりたいと考え、正社員として長く働ける御社を志望しました。

例文2:契約社員として販売の仕事をしてきた場合

当時は自分に合う仕事がわからず、まずは興味のあった販売の仕事を契約社員として始めました。3年間店舗で働くうちに、お客様の要望を聞き取って提案することにやりがいを感じるようになり、新人スタッフの指導も任されるようになりました。この経験を生かし、より長い目線でお客様と関係を築ける仕事に正社員として挑戦したいと考えています。

NG

「派遣は契約が切られるかもしれず不安定なので、安定した正社員になりたいと思いました。」

OK

「派遣で〇〇の業務を続けるなかで、任された範囲の外にも改善したいことが見えてきました。正社員として責任を持って仕事に関わり、長く力を発揮したいと考えています。」

「安定したい」という気持ちは本音として自然なものですが、それだけを理由にすると「条件が良ければどこでもいいのでは」と受け取られかねません。安定は前提として、その先で何をしたいかを中心に話しましょう。

キャリアアドバイザーからのコメント

派遣や契約社員の方とお話ししていると、「自分は言われたことをやっていただけなので」と経験を小さく見積もってしまう方がとても多いです。でも、業務の手順をまとめ直したり、新しく来た人に教えたりしたことは、立派なアピール材料です。

もうひとつ大事なのは、今の職場で正社員になれるかどうかの確認と、転職活動を並行して進めておくことです。片方だけに賭けると、契約の区切りに慌てて決めることになりがちです。どちらに進むか迷ったら、気軽に相談してくださいね。

Career Vision キャリアアドバイザー

20代・未経験層の転職支援を担当

派遣・契約社員から正社員を目指すときのよくある質問

派遣社員の経験は職歴として認めてもらえる?

認めてもらえます。雇用形態にかかわらず、実際に働いて担当した業務は職歴です。履歴書には派遣元と派遣先の両方を書き、職務経歴書では担当した業務内容と工夫したことを具体的に伝えましょう。

派遣や契約社員の期間が長いと、正社員の選考で不利になる?

期間の長さだけで不利になるとは限りません。同じ業務を長く続けてきたことは安定して働ける根拠にもなります。大切なのは、その間に何ができるようになったのか、なぜ今正社員を目指すのかを一貫して説明できることです。

今の派遣先や勤務先に、正社員になりたいと伝えてもいい?

伝えて問題ありません。派遣社員の場合は、まず派遣元の担当者に相談するのが一般的です。直接雇用の予定がない職場であれば、在職中のうちに転職活動を並行して進めておくと、選択肢を狭めずに済みます。

まとめ|非正規で積んだ経験は、正社員への足場になる

派遣社員や契約社員から正社員になる道には、今の職場での登用や直接雇用、紹介予定派遣、転職の3つがあります。今の職場で目指すなら登用の実績や条件を確かめ、無期雇用と正社員の違いも理解したうえで、期限を決めて動きましょう。

転職で目指す場合も、これまで任された業務や工夫したことを具体的に伝えれば、非正規の経験はしっかり評価してもらえます。「なぜ派遣(契約社員)だったのか」には正直に短く答え、今後どんな仕事に責任を持ちたいのかを中心に話すことが大切です。積み重ねてきた経験を、正社員として働くための足場にしていきましょう。

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