20代の求職者は求人票のどこを見ているのか
求人票を改善する前に、まず読み手である20代の求職者の視点を知っておきましょう。彼らの多くはスマートフォンで複数の求人を高速に見比べており、1つの求人票を読み込む時間はごくわずかです。その短い時間で見られているのは、主に次のポイントです。
- 仕事内容のリアルさ:入社したら毎日何をするのか、自分にできそうか
- 働き方の実態:残業時間、休日、テレワークの可否などの「実際のところ」
- 成長できるか:研修や教育体制があるか、どんなスキルが身につくか
- 職場の雰囲気:どんな人が働いていて、どんな社風なのか
- 給与の透明性:金額そのものより、内訳や上がり方が明確かどうか
特に第二新卒層は、一度「入社前のイメージと現実のギャップ」を経験している人が多く、耳ざわりの良い言葉より具体的な情報を信頼する傾向があります。求職者が転職先をどんな基準で選んでいるかは、「転職の軸」の作り方の記事を読むと、応募者側の頭の中がよく分かります。
応募が集まらない求人票の特徴3つ
私たちが多くの求人原稿を見てきた中で、応募が集まらない求人票にはいくつかの共通点があります。代表的な3つを紹介します。
特徴1:仕事内容が抽象的で、働く姿を想像できない
「営業業務全般」「各種事務作業」といった書き方では、読み手は入社後の自分を想像できません。想像できない仕事に人は応募しません。社内では当たり前の言葉でも、社外の20代には何も伝わっていない、というケースが非常に多いです。
特徴2:会社が「求める」ことばかりで、提供できることが書かれていない
必須要件・歓迎要件・求める人物像がずらりと並ぶ一方で、会社側が何を提供できるのか(教育体制、キャリアパス、働きやすさ)がほとんど書かれていない求人票です。求人票は選考書類ではなく、会社から求職者へのラブレターです。要求ばかりの手紙に返事は来ません。
特徴3:どの会社にも当てはまる言葉で埋まっている
「アットホームな職場」「やりがいのある仕事」「風通しの良い社風」。これらは他社の求人票にも同じように書かれているため、比較検討の場では何も言っていないのと同じになってしまいます。むしろ「具体的に書けることがない会社なのでは」という不信感につながることもあります。
応募が集まる求人票の書き方6つのコツ
ここからは、上記の特徴を裏返した「書き方のコツ」を6つ紹介します。すべてを一度にやる必要はありません。できるところから1つずつ直していきましょう。
コツ1:仕事内容は「動詞レベル」まで具体化する
「営業業務」ではなく、「既存のお客様を月20社ほど訪問し、追加のご要望をヒアリングして見積書を作成する」のように、誰に・何を・どうやってまで分解して書きます。新規開拓とルート営業、電話中心と訪問中心では、読み手が受ける印象はまったく違います。仕事の割合(新規3割・既存7割など)まで書けると理想的です。
コツ2:「1日の流れ」を載せる
出社から退社までのタイムラインを載せると、働く姿が一気に想像しやすくなります。「9:00 朝礼・メールチェック → 10:00 お客様訪問(2〜3件)→ 15:00 帰社して見積書作成 → 18:00 退社」のような簡単なもので十分です。未経験者ほど「自分にもできそうか」を1日の流れで判断します。
コツ3:求める人物像は絞り込む
「コミュニケーション能力があり、主体性があり、素直で、成長意欲があり……」と条件を並べるほど、読み手は「自分は対象外だ」と感じて離脱します。本当に譲れない要素を1〜2つに絞り、「こういう人なら未経験でも活躍できます」という書き方に変えましょう。応募のハードルを下げるのは、選考基準を下げることではありません。
コツ4:数字で語る
「残業少なめ」ではなく「月平均10時間」、「研修充実」ではなく「入社後1か月の座学研修とOJT3か月」、「若手活躍中」ではなく「社員の約4割が20代」。形容詞を数字に置き換えるだけで、求人票の信頼感は大きく変わります。数字は必ず実態どおりに書いてください。盛った数字は面接や入社後に必ず露見します。
コツ5:入社後の成長イメージを時系列で示す
20代の求職者が最も知りたいことの1つが「この会社に入ったら自分はどうなれるのか」です。「入社3か月で商品知識を習得 → 半年で先輩同行のもと担当を持つ → 1年後に独り立ち → 3年目でリーダー候補」のように、時間軸つきのステップで示しましょう。実在の若手社員の歩みをモデルにすると、リアリティが出ます。
コツ6:正直にデメリットも開示する
意外に思われるかもしれませんが、「繁忙期の3月は残業が月30時間程度になります」「最初の半年は覚えることが多く大変です」といった正直な開示は、応募の質を上げます。良いことしか書いていない求人票は、かえって警戒されるのが今の20代です。デメリットとセットで「その分、こうフォローします」まで書ければ、誠実さが伝わり、入社後のミスマッチと早期離職も減らせます。
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【項目別】求人票のビフォーアフター改善例
コツを踏まえて、実際の求人票でよくある記載を項目別に改善してみます。自社の原稿と見比べながら読んでみてください。
改善例1:仕事内容
法人向けの営業業務全般をお任せします。
既存のお取引先(中小企業約30社)を定期訪問し、オフィス用品の追加提案や困りごとのヒアリングを行う営業です。新規開拓はほぼなく、既存フォローが9割。入社後3か月は先輩に同行し、商品知識と提案の流れを覚えるところから始めます。
「全般」をやめて対象・割合・進め方まで書くと、未経験者でも働く姿を想像できます。「新規開拓はほぼない」のような不安を打ち消す一文は、20代の応募ハードルを大きく下げます。
改善例2:歓迎要件
歓迎:営業経験者、コミュニケーション能力の高い方、主体性のある方、成長意欲のある方
歓迎:接客やアルバイトなど、人と話す仕事の経験がある方。営業経験は問いません。現在活躍中の社員も、販売職や飲食店勤務からのスタートがほとんどです。
抽象的な資質の羅列を削り、「あなたの経験も対象です」と伝わる書き方に変えるのがポイントです。活躍中の社員の前職を添えると、既卒・フリーターや第二新卒の読み手も自分ごととして読めます。
改善例3:キャッチコピー
アットホームな職場で、やりがいのある仕事をしませんか?
未経験スタートが8割。「教わってから独り立ち」が当たり前の営業チームです。
キャッチコピーは飾る場所ではなく、自社の一番の強みを1つだけ選んで数字や事実で言い切る場所です。誰にでも当てはまる言葉を捨てた瞬間に、求人票は「その会社だけの原稿」になります。
法律に触れやすいNG表現|性別・年齢の書き方に注意
表現の工夫と同じくらい重要なのが、法律面のチェックです。求人票では、性別や年齢を限定する表現が法律で原則禁止されています。知らずに書いてしまいやすいポイントを押さえておきましょう。
性別を限定する表現はNG
男女雇用機会均等法により、募集・採用で性別を理由に条件を変えることは原則できません。「男性歓迎」「女性限定」のような直接的な表現だけでなく、職種名に性別が含まれる書き方もNGとされています。
性別に関する言い換え例
- 営業マン → 営業スタッフ・営業職
- ウェイター/ウェイトレス → ホールスタッフ
- 保母さん → 保育士
- 「女性が活躍中の職場です」→ 事実の紹介として書くのは可。ただし「女性を募集」と受け取れる限定表現は不可
年齢制限も原則禁止
労働施策総合推進法により、募集・採用時の年齢制限も原則禁止です。「35歳以下の方」「若い方向けの職場です」といった記載は基本的にできません。ただし例外が認められるケースがあり、代表的なのが「長期勤続によるキャリア形成のため、若年者等を期間の定めのない労働契約で募集・採用する場合」です。この例外を使う場合は、経験不問とすることなどの条件を満たしたうえで、年齢制限の理由を求人票に明示する必要があります。
判断に迷う表現は、掲載前にハローワークや求人媒体の審査基準、社会保険労務士などの専門家に確認するのが安全です。法令違反の求人は掲載停止のリスクがあるだけでなく、企業の信頼にも関わります。
求人票の書き方に関するよくある質問
求人票はどのくらいの頻度で見直すべき?
掲載して2〜4週間応募がなければ見直しのサインです。応募が入っている場合も、面接で「求人票のどこに惹かれたか」を聞き、響いている要素を強化する形で定期的に更新するのがおすすめです。
給与や残業時間を正直に書くと応募が減りませんか?
一時的に応募数は減るかもしれませんが、条件を隠して集めた応募は選考辞退や早期離職につながりやすく、採用コストがかえって膨らみます。正直な記載は「入社後に定着する応募」を増やすための投資と考えましょう。
未経験歓迎と書いているのに経験者ばかり欲しくなってしまいます。
求人票と選考基準がずれているサインです。本当に未経験を採るなら、経歴ではなく人柄・意欲で評価する選考基準に揃えましょう。実際は経験者が欲しいなら「未経験歓迎」を外し、求める経験を具体的に書くほうが双方の時間を無駄にしません。
まとめ|求人票は「会社の顔」として磨き続ける
応募が集まらないとき、原因は媒体や採用市場ではなく、求人票そのものにあることが少なくありません。ポイントをおさらいします。
応募が集まる求人票の書き方6つのコツ
- 仕事内容は「動詞レベル」まで具体化する
- 「1日の流れ」を載せる
- 求める人物像は1〜2つに絞る
- 形容詞を数字に置き換える
- 入社後の成長イメージを時系列で示す
- 正直にデメリットも開示する
求人票は、多くの20代にとって会社と出会う最初の接点です。一度書いて終わりにせず、応募者の反応を見ながら磨き続けていきましょう。若手採用のノウハウは採用ノウハウの記事一覧でも紹介しています。また、応募者側の視点を知るには第二新卒の転職についての記事も参考になります。
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キャリアアドバイザーからのコメント
求職者との面談では、「求人票のこの一文が決め手で応募した」という声をよく聞きます。逆に、条件は悪くないのに「何をする仕事か分からなかったので候補から外した」というケースも本当に多いです。
おすすめは、完成した求人票をターゲットに近い年齢の社員に読んでもらうこと。「この求人、応募したいと思う?」という一言のフィードバックが、どんな理論よりも原稿を良くしてくれます。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・未経験層の転職支援を担当