面接官がキャリアプランを聞く3つの理由
「5年後・10年後にどうなっていたいですか」という質問は、将来を正確に言い当てるテストではありません。面接官はこの質問を通じて、主に次の3つを確かめています。
面接官が確かめたい3つのこと
- 方向性が会社と合っているか:本人の目指す姿と、会社が用意できる仕事や成長の道筋が大きくずれていないか
- 成長する意欲があるか:言われたことをこなすだけでなく、自分から伸びようとする姿勢があるか
- 長く働くイメージを持っているか:入社後の数年を、この会社で過ごす前提で考えているか
特に20代の採用では、今のスキルよりも入社後にどう伸びていくかが重視されやすい傾向があります。キャリアプランの質問は、その「伸びしろ」と「方向の一致」を見るための代表的な質問だと考えてください。
やりたいことが決まっていなくても答えられる考え方
「将来やりたいことが決まっていないから答えられない」と悩む人は少なくありません。ただ、面接で求められているのは、決まった目標ではなく自分の将来を考えようとしている姿勢です。
遠い将来からではなく「近い将来」から考える
10年後の姿から逆算しようとすると、どうしても手が止まります。そこで順番を逆にして、入社後1年、3年、5年と近いところから積み上げて考えてみましょう。1年後に「一人で担当できる仕事を持つ」、3年後に「後輩に教えられるようになる」と置いていけば、5年後の姿も自然と見えてきます。
「なりたい姿」は職種名でなくてもいい
「5年後にはマネージャーに」のような役職名が出てこなくても問題ありません。「お客様から名前で指名される営業になりたい」「チームの業務を仕組みで楽にできる人になりたい」といった、働き方や周りからの頼られ方で表現するほうが、かえってその人らしさが伝わります。
伝わるキャリアプランの組み立て方4ステップ
キャリアプランの回答は、次の4つの要素を順番に並べるだけで、筋の通った話になります。全体で1分程度を目安にまとめましょう。
- 結論:数年後になっていたい姿 「5年後には〇〇ができる人になっていたいです」と最初に言い切る
- 理由:そう考えるようになったきっかけ 前職やアルバイト、学生時代の経験から一つ挙げる
- 道筋:入社後1〜3年でやること 応募先の仕事内容に沿って、身につけたいことを具体的に話す
- 貢献:会社にどう返したいか 成長した先で、チームや会社にどう役立ちたいかで締める
ポイントは3番目の「道筋」です。ここで応募先の求人票や仕事内容に書かれている業務を具体的に入れると、「この会社で働く姿を具体的に考えてきた人」という印象になります。どの会社にも言える一般論で終わらないよう、事前に仕事内容を読み込んでおきましょう。
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【状況別】キャリアプランの回答例文6選
ここからは、20代に多い状況別の回答例を紹介します。そのまま使うのではなく、自分の経験や応募先の仕事内容に合わせて言葉を入れ替えてください。
例文1:同じ職種で経験を深めたい場合(営業職)
5年後には、お客様の課題を一緒に考えて提案できる営業になっていたいです。前職では決まった商品を案内する営業でしたが、お客様の事情に合わせて提案を変えたときに一番喜ばれた経験から、提案の幅を広げたいと考えるようになりました。入社後はまず商品知識と業界の理解を深め、3年目までに担当顧客を自分で広げられるようになりたいです。
例文2:未経験の職種に挑戦する場合(事務職)
5年後には、部署の事務作業を効率よく回す中心的な存在になっていたいです。接客のアルバイトで在庫表の管理を任され、ミスが減る仕組みを考えることにやりがいを感じました。入社後の1年は業務の流れと基本操作を確実に覚え、その後は手順の見直しやマニュアル作りにも関わりながら、周りが働きやすくなる工夫を提案できるようになりたいです。
例文3:専門性を身につけたい場合(ITエンジニア)
5年後には、お客様の要望を聞いて設計から任せてもらえるエンジニアになっていたいです。独学でプログラミングを学ぶ中で、作ったものが人の役に立つ面白さを知りました。入社後の2〜3年は開発の現場で基礎を固め、資格の勉強も続けながら、担当できる工程を少しずつ上流へ広げていきたいと考えています。
例文4:人をまとめる立場を目指したい場合
5年後には、後輩の育成を任され、チームの成果に責任を持てる立場になっていたいです。前職で新人の教育係を任されたとき、相手に合わせて教え方を変える難しさと面白さを感じました。まずは自分自身が現場で成果を出せるようになり、そのうえで教える側としての経験を積んでいきたいです。
例文5:やりたいことがまだ定まっていない場合
正直に申し上げると、5年後の具体的な役職まではまだ描けていません。ただ、どの仕事でも「任せて安心だと思われる人」になりたいという思いは一貫しています。入社後はまず目の前の業務を確実にこなして信頼を積み重ね、その中で自分が特に力を発揮できる分野を見つけ、3年目以降はそこを専門として深めていきたいです。
例文6:フリーター・既卒から正社員を目指す場合
5年後には、この仕事を人に教えられるくらい一人前になっていたいです。アルバイトでは任される範囲に限りがあり、もっと責任のある立場で長く経験を積みたいと考えて正社員を目指しました。最初の1年は社会人としての基本と業務の基礎を身につけることに集中し、その後は担当業務を広げながら、職場に欠かせない存在になっていきたいです。
評価を下げやすいNG回答と言い換え例
キャリアプランの質問では、悪気なく答えた内容が思わぬ受け止め方をされることがあります。代表的な2つを言い換え例と一緒に見ていきましょう。
NG1:「特に考えていません」で終わる
まだ具体的には考えていません。入社してから考えたいと思います。
具体的な役職までは描けていませんが、まずは3年で一通りの業務を一人で任せてもらえるようになりたいです。その中で自分の強みが生きる分野を見つけ、深めていきたいと考えています。
NG2:応募先で実現できないことを語る
将来は海外で働きたいので、英語を使う仕事にいずれ挑戦したいです。
将来的には、語学の勉強も続けながら、御社の取引先とのやりとりでも力になれるようになりたいです。まずは国内のお客様への対応で経験を積みたいと考えています。
NG2の場合、その会社に海外に関わる仕事がなければ「うちでは叶わないから辞めるのでは」と受け取られかねません。夢そのものを否定する必要はありませんが、応募先で実現できる形に置き換えて話すのがポイントです。応募先の事業内容で実現できるかどうかを、事前に確認しておきましょう。
深掘り質問に備えて準備しておきたいこと
キャリアプランを答えると、多くの場合そこから深掘りの質問が続きます。次の3つにも答えられるよう準備しておくと安心です。
| 深掘りの質問 | 面接官の意図 | 答え方のポイント |
|---|---|---|
| そのために今何をしていますか | 口先だけでなく行動が伴っているか | 勉強中の資格や読んでいる本など、小さくても今続けていることを話す |
| なぜ当社でそれを実現したいのですか | 他社でもよいのではないか | 応募先の仕事内容や育成の仕組みと、目指す姿のつながりを話す |
| 思いどおりにいかなかったらどうしますか | 壁にぶつかったときに踏みとどまれるか | 上司への相談や目標の立て直しなど、具体的な行動で答える |
面接のキャリアプランに関するよくある質問
キャリアプランが本当に思いつかないときはどう答える?
遠い将来の姿を無理に作る必要はありません。「入社後の1〜3年で何を身につけたいか」と、その先に広げたい方向性を一言添えるだけでも、十分に前向きな回答になります。
面接で話したキャリアプランと違う道に進んだら問題になる?
問題にはなりません。面接官も計画どおりに進むとは考えておらず、見ているのは将来を考えて行動できる人かどうかです。その時点で本気で考えた内容を話せば大丈夫です。
「将来は独立したい」と正直に言ってもいい?
応募先の方針によっては、早期に辞める前提と受け取られるおそれがあります。独立の話を中心にするより、応募先で身につけたいことや貢献したいことを軸に話すほうが無難です。
まとめ|キャリアプランは「今の本気」を話せば十分
面接でキャリアプランを聞かれるのは、方向性が会社と合っているか、成長する意欲があるか、長く働くイメージを持っているかを確かめるためです。将来を正確に言い当てる必要はありません。
やりたいことが決まっていないときは、10年後から逆算するのではなく、入社後1年、3年と近いところから積み上げて考えてみましょう。回答は「結論 → 理由 → 入社後の道筋 → 貢献」の順に組み立て、道筋の部分に応募先の仕事内容を具体的に入れると説得力が増します。
そして、背伸びした目標より、今の自分が本気でそう思えることを話すのがいちばんです。深掘りされても言葉に詰まらない、自分の言葉のキャリアプランを準備しておきましょう。
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キャリアアドバイザーからのコメント
キャリアプランの相談で多いのが、「面接用の立派な答え」を作ろうとして、自分でも信じていない話をしてしまうケースです。そうした話は、深掘りされた途端に言葉が続かなくなります。
大切なのは、背伸びした目標より「今の自分が本気でそう思えること」を話すこと。「まだ決まっていないけれど、こう考えている」という等身大の答えのほうが、面接官には誠実に伝わります。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・未経験層の転職支援を担当