リファラル採用とは?縁故採用との違いとメリット・デメリット
リファラル採用とは、自社の社員に知人・友人を紹介してもらう採用手法です。「コネ採用でしょ?」と混同されがちですが、昔ながらの縁故採用とは考え方がまったく違います。
社員の紹介を「入口」として使う採用手法。紹介された人も通常の選考を受け、基準に満たなければ不採用になります。紹介はあくまで出会いのきっかけです。
経営者や役員の親族・知人を、関係性を理由に採用する慣行。選考基準よりも「誰の紹介か」が優先されやすく、ミスマッチや社内の不公平感につながりがちです。
つまりリファラル採用は、「出会い方は紹介、選考は平等」という設計にすることで縁故採用と一線を画します。
リファラル採用のメリット
- 定着しやすい:紹介者から会社のリアルな姿を聞いたうえで入社するため、入社後のギャップが小さく、早期離職が起きにくい
- 採用コストを抑えられる:求人媒体の掲載費や人材紹介の成功報酬がかからず、かかるのは社内のインセンティブと運用の手間が中心
- カルチャーフィットしやすい:社員は「この人ならうちに合う」と思える相手を選んで紹介するため、社風との相性が事前にある程度担保される
リファラル採用のデメリット
- 採用数が読めない:紹介はいつ出るか分からず、「来月までに3名」のような計画的な採用には向かない
- 不採用時に関係がこじれるリスク:紹介した社員と紹介された知人、双方への配慮を欠くと、友人関係や社員のモチベーションを傷つける
- 組織が同質化しやすい:似た経歴・価値観の人が集まりやすく、リファラルだけに頼ると組織の多様性が失われる
このため、リファラル採用は単独で完結させるのではなく、求人媒体や人材紹介と組み合わせるチャネルの一つとして位置づけるのが現実的です。採用手法ごとのコスト構造は中途採用にかかる費用の記事で詳しく解説しています。
若手採用にリファラルが向く理由
リファラル採用は、特に20代・若手の採用と相性が良い手法です。理由は大きく2つあります。
理由1:20代社員のネットワークは20代でできている
20代の社員の周りには、学生時代の友人、前職の同期、アルバイト仲間など、同世代の知人が集中しています。その中には「今の会社に不満はあるが、転職サイトにはまだ登録していない」層が必ずいます。求人媒体では出会えない転職潜在層に接点を持てるのがリファラルの強みです。
理由2:入社前に「実態」が伝わる
20代の転職者が最も恐れるのは、「入ってみたら聞いていた話と違った」という失敗の再体験です。リファラルでは、紹介者である友人から残業の実態や仕事のきつい部分まで良いことも悪いことも事前に伝わります。それでも「話を聞きたい」と来てくれた人は、入社後のギャップで辞める可能性が低いのです。
リファラル採用の制度設計5ステップ
「制度設計」といっても、分厚い規程を作る必要はありません。次の5つを決めて文書化すれば、小さな会社でも十分に運用できます。
ステップ1:目的と対象ポジションを決める
まず「何のためにやるのか」「どの職種・ポジションで紹介を募るのか」を明確にします。全職種で漠然と募るより、「営業職を通年で」「カスタマーサポートを今期2名」のように対象を絞るほうが、社員は知人の顔を思い浮かべやすくなります。
ステップ2:紹介フローと選考の扱いを決める
「紹介したいときに誰に・どう連絡するか」「紹介後は誰が候補者に連絡するか」を決めます。ここで最も重要な原則は、選考基準を通常の応募者と同じにすることです。紹介だから面接を1回飛ばす、基準を緩めるといった運用は、ミスマッチと社内の不公平感の温床になります。優遇してよいのは、カジュアル面談から始められるなど「入口の気軽さ」の部分だけです。
ステップ3:紹介者・被紹介者へのフォローを決める
選考の進捗を紹介者にどこまで共有するか、不採用時に誰がどう伝えるかを、制度を始める前に決めておきます。ここが曖昧なまま走り出すと、最初の不採用が出た時点で制度が止まります。
ステップ4:インセンティブを設計する
紹介や入社に対して報酬を出すかどうか、出すならどんな形にするかを決めます。金銭報酬には法律上の注意点があるため、次の章で詳しく説明します。
ステップ5:社内に周知する
制度は作っただけでは動きません。全社ミーティングで経営者自身が「なぜリファラルをやるのか」を語り、その後も採用の進捗や入社事例を定期的に共有し続けることが肝心です。一度の告知で終わらせないようにしましょう。
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社員への依頼のしかた|「知り合いいない?」では紹介は出ない
リファラル採用で最も多い失敗が、依頼のしかたです。飲み会の席で「誰かいい人いない?」と聞いても、社員の頭には誰も浮かびません。漠然とした依頼は、漠然とした(=ゼロの)結果しか生みません。
求人要件を具体的に伝える
「いい人」ではなく、「前職1〜3年目くらいで、人と話すのが好きで、今の仕事にちょっとモヤモヤしていそうな同世代」のように、知人の顔が浮かぶ解像度で伝えます。職種・想定する経験・働き方など、要件が具体的であるほど、社員は「あ、あいつかも」と思い出せます。
紹介しやすい「素材」を渡す
社員に口頭で会社を説明させるのは酷です。紹介のハードルを下げる素材をセットで渡しましょう。
- 求人票・募集ページのURL:「これ見てみて」と送るだけで済む状態にする(応募が集まる求人票の書き方も参考にしてください)
- 会社紹介の1枚資料やSNS:事業内容と雰囲気が数分で伝わるもの
- カジュアル面談の案内:「選考じゃなくて、まず話を聞くだけでいい」と言える受け皿(設計はカジュアル面談の進め方で解説しています)
社員に渡す依頼メッセージ例(そのまま転送できる形で)
- 「◯◯さんの周りで、営業やってて2〜3年目くらいの人いませんか? うちで既存のお客様向けの営業を1名探してます。いきなり応募じゃなくて、オンライン30分のカジュアル面談で話を聞くだけでもOKです。興味ありそうな人がいたら、この求人ページを送ってもらえたら嬉しいです → (URL)」
- ポイント:対象の解像度(職種・年次)/選考ではない入口/転送するだけでよい素材、の3点をワンセットにする
依頼は全社一斉より、1on1や少人数の場で個別に行うほうが効果的です。名指しで頼まれると、社員は自分ごととして知人を思い浮かべてくれます。
インセンティブ・報酬設計の注意点
「紹介してくれたら◯万円」という制度を作る前に、必ず知っておくべき注意点があります。社員への紹介報酬の支払い方には、職業安定法上の注意点があるのです。会社が「業として」行う労働者のあっせんへの報酬支払いは規制の対象となり得るため、報酬の出し方を誤ると法令に抵触するおそれがあります。
このため実務では、紹介報酬を都度の謝礼金のような形にせず、賞与や賃金の一部として就業規則や賃金規程に位置づける形が一般的とされています。ここは自己判断せず、制度化の前に社会保険労務士・弁護士などの労務・法務の専門家や、労働局など公的機関に確認してください。
インセンティブ設計で押さえること
- 金銭を出す場合は、就業規則・賃金規程に位置づける形を検討し、制度化前に専門家・公的機関へ確認する
- 「入社したら支給」だけでなく、「紹介・面談につながったら」の段階でも小さく報いると紹介行動が続きやすい
- 報酬は食事会の補助や感謝を伝える仕組みなど、金銭以外の形も選択肢になる
- 高額な報酬は「お金目当ての紹介」を誘発し、かえって紹介の質を下げることがある
そもそも社員が紹介する一番の動機は報酬ではなく、「この会社を友人にすすめられるか」です。インセンティブはあくまで感謝の表現と割り切り、金額で紹介を「買おう」としないことが、制度を長続きさせるコツです。
運用でつまずくポイントと対策
制度を作った後、多くの会社が同じ場所でつまずきます。あらかじめ対策を用意しておきましょう。
つまずき1:紹介がまったく出ない
原因の多くは「一度告知して終わり」と、依頼の漠然さです。対象ポジションを絞って個別に依頼し直す、月次で「今こんな人を探しています」と発信し続けるなど、思い出してもらう頻度を上げることが対策の基本です。それでも出ない場合は、社員が会社をすすめられない状態にある可能性を疑い、働く環境側の課題に向き合う必要があります。
つまずき2:不採用時に関係がこじれる
紹介された人が不採用になることは必ず起きます。対策は、紹介を受け付ける時点で「通常選考と同じ基準で判断する」と紹介者・候補者の双方に伝えておくことです。不採用の連絡は会社から候補者へ丁寧に行い、紹介者には詳細な理由を共有しすぎないこともルールにし、「紹介してくれたこと自体」への感謝を必ず伝えます。
つまずき3:紹介が特定の部署・人に偏る
紹介熱心な社員に依存すると、その人の退職と同時に制度が止まり、組織の同質化も進みます。部署ごとに依頼の場を設ける、これまで紹介のなかった部署の求人を意識的に発信するなど、紹介の裾野を広げる働きかけを続けましょう。
つまずき4:紹介者への結果連絡を忘れる
意外に多いのがこれです。紹介したのに、その後どうなったか何の連絡もない——これだけで社員は「紹介して損した」と感じ、二度と紹介しなくなります。選考の節目ごとに紹介者へ一言伝えることを採用担当のタスクとしてフローに組み込んでください。
リファラル採用に関するよくある質問
社員数が少ない会社でもリファラル採用はできる?
できます。むしろ社員数が少ない会社ほど、一人ひとりに直接依頼でき、経営者との距離の近さも紹介の魅力になります。大がかりな制度を作らなくても、紹介フローとインセンティブの扱いを決めて全員に共有すれば始められます。
紹介された人は選考で優遇すべき?
選考基準は通常の応募者と同じにするのが原則です。紹介だからと基準を緩めると、ミスマッチ入社や社内の不公平感につながります。優遇するのは選考基準ではなく、カジュアル面談から始められるなど入口のハードルの部分にしましょう。
インセンティブなしでもリファラル採用は成り立つ?
成り立ちます。社員が紹介する一番の動機は報酬ではなく、「自分の会社を人にすすめられるか」です。報酬制度がなくても、依頼のしかたと紹介しやすい素材の整備、紹介後の丁寧なフォローがあれば紹介は生まれます。
まとめ|小さく始めて、紹介したくなる会社をつくる
リファラル採用の始め方は、①目的と対象ポジションを絞る、②選考は通常と同じ基準にする、③紹介者・候補者へのフォローを先に決める、④インセンティブは法律上の注意点を専門家に確認してから制度化する、⑤具体的な要件と素材をセットにして個別に依頼する——この順番です。
完璧な制度を作ってから始める必要はありません。対象ポジションを1つに絞り、数名への個別依頼から小さく始めて、つまずきを一つずつ潰していくほうが早く回り始めます。そして紹介が出続けるかどうかは、最終的には「社員が友人にすすめたくなる会社かどうか」にかかっています。
リファラルは採用数が読めない以上、単独では計画的な採用は成り立ちません。求人媒体や人材紹介と組み合わせたチャネル設計に迷ったら、若手採用のプロに相談するのも一つの方法です。
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リファラルだけに頼らない採用チャネルの設計から面接設計まで、20代採用のプロが伴走します。
採用について相談する※サービス内容・料金はお問い合わせください。
キャリアアドバイザーからのコメント
採用支援の現場で見ていると、リファラルがうまく回っている会社の共通点は、報酬額の高さではなく「紹介者への感謝と連絡が徹底されていること」です。紹介した社員が「紹介してよかった」と感じれば、2人目、3人目の紹介につながります。
逆に、紹介で入社した人が早期に辞めてしまうと、紹介者のダメージは想像以上に大きいものです。リファラルは受け入れ体制とセットで初めて機能すると考えてください。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・第二新卒採用の企業支援を担当