20代の候補者は応募前に採用ページを必ず見る
20代の転職活動は、多くの場合「求人媒体やスカウトで会社を知る → 会社名で検索して採用ページ・ホームページを見る → 納得できたら応募する」という流れをたどります。つまり採用ページは、媒体からの流入を応募に変える最後の関門です。ここが会社概要の転載だけだと、媒体にかけた費用や工数が応募の手前で漏れていくことになります。
媒体の求人票は文字数やフォーマットに制約があり、伝えられる情報が限られます。「もっと詳しく知りたい」と思って来た候補者に媒体以下の情報しか出せなければ、離脱されるのは自然な流れです。
候補者が採用ページで離脱する典型パターン
- 会社概要と沿革しかなく、どんな人がどう働いているのか分からない
- 情報が明らかに古い(終了した募集が残っている、写真が何年も前のまま)
- 「アットホーム」「やりがい」など抽象的な言葉ばかりで、仕事の中身が見えない
- スマホで見づらい、応募方法がどこにあるか分からない
裏を返せば、候補者が知りたいことに答えるページを用意するだけで、同じ媒体・同じ求人でも応募率は変わります。新しい媒体への出稿より先に取り組む価値のある施策です。
採用ブランディングとは何か
採用ページづくりの土台になるのが「採用ブランディング」です。似た言葉が多いので、まず整理しておきましょう。
「この会社で働くとはどういうことか」を定義し、候補者に一貫したイメージとして届ける活動。採用ページ、求人票、スカウト、面接での説明まで、候補者接点全体の軸になります。
定義した軸を候補者に届けるための発信活動。採用ページの記事、SNS、社員インタビューの公開などの「手段」を指します。軸がないまま発信だけ増やすと、メッセージがぶれます。
顧客や取引先を含む社会全体に向けた、会社そのもののイメージづくり。採用ブランディングはその一部ですが、対象が「候補者」に絞られる点と、「働く場としての魅力」を扱う点が異なります。
「ブランディング」と聞くと大企業の話に感じるかもしれませんが、実態は逆です。知名度で候補者を集められない中小企業こそ、「うちで働くと何が得られるのか」の言語化が必要です。「どんな人に来てほしいか」「その人に何を約束できるか」を一文で言える状態にすること。それが採用ブランディングの出発点であり、採用ページの設計図になります。
採用ページに必要な8つのコンテンツ
採用ページに載せるべきコンテンツは次の8つです。20代向けに書くときのコツとあわせて見ていきましょう。
1. 募集要項
給与・勤務地・勤務時間・休日・選考プロセスなどの基本情報です。ここが曖昧だと、他がどれだけ充実していても応募には至りません。20代向けのコツ:「未経験入社の初年度の給与の目安」を示すなど、「入社1年目の自分」を想像できる粒度で書きましょう。
2. 仕事内容の1日
職種名だけでは、未経験の若手には仕事の中身が想像できません。出社から退勤までのタイムライン形式で1日の流れを見せましょう。20代向けのコツ:「9:00 朝礼」で終わらせず、「9:00 朝礼。今日訪問する2社の情報をチームで共有」のように行動の中身まで書くと解像度が上がります。
3. 社員紹介
候補者が最もよく見るコンテンツのひとつです。役職者だけでなく、候補者と年齢や経歴が近い社員を選びましょう。20代向けのコツ:「入社前は何をしていたか」「なぜこの会社を選んだか」「入社前後のギャップ」の3点を必ず聞くこと。特にギャップを正直に語ってもらうと信頼度が上がります。
4. 入社後の成長ステップ
20代の候補者は「この会社で成長できるか」を重視します。研修、独り立ちまでの期間、その後のキャリアの選択肢を時系列で示しましょう。20代向けのコツ:「充実した研修制度」ではなく、「最初の1か月は先輩に同行、2か月目から小規模案件を担当」のように期間と内容をセットで書きます。
5. 数字で見る会社
平均年齢、男女比、中途入社の割合など、自社の実データを図で見せるコンテンツです。20代向けのコツ:載せる場合は、必ず自社で集計した実際の数字を使うこと。実態より良く見せる加工は、入社後のギャップとなって早期離職につながります。
6. 働く環境・制度
オフィスの様子、リモートやフレックスの有無、休暇制度などです。20代向けのコツ:制度名の羅列ではなく、「時差出勤制度あり(現在は約半数が利用)」のように「実際にどのくらい使われているか」を添えましょう。
7. よくある質問
「未経験でも大丈夫か」「服装や髪型の規定は」など、候補者が応募をためらう理由に先回りして答えます。20代向けのコツ:面接で実際によく聞かれる質問を洗い出し、そのまま質問文にすると候補者の不安に正確に当たります。
8. 応募フロー
応募から内定までのステップと所要期間を明示します。20代向けのコツ:「まずは話を聞くだけの面談も可能」という選択肢を応募ボタンの近くに書きましょう。若手にとって「応募」は重い行為なので、手前に軽い入口を作ることが応募数に直結します。
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若手に伝わる書き方の4原則
コンテンツが揃っても、書き方が「会社側の言葉」のままでは伝わりません。原則は4つです。
- 抽象語を行動に置き換える:「風通しが良い」「裁量がある」といった言葉は、それ自体では何も伝えていません。その言葉の根拠になっている具体的な行動・場面に置き換えます
- 良いことだけ書かない:大変な部分や向いていない人を正直に書くと、ページ全体の信頼度が上がり、ミスマッチ応募も減ります
- 選考で聞かれることを先に書く:面接で必ず説明している内容(評価制度、配属の決まり方など)は、先にページで開示しておくと、候補者は安心して応募できます
- 候補者を主語にする:「当社は〜を提供します」ではなく「あなたは〜ができるようになります」の視点で書き直します
特に効果が大きいのが1つ目の「抽象語を行動に置き換える」です。書き換えのイメージを3つ示します。
風通しの良い社風で、若手の意見も尊重されます。
月1回の改善会議では役職に関係なく提案でき、昨年は入社1年目の提案から受付フローが変わりました。
未経験でも安心の教育体制があります。
入社後1か月は先輩との2人体制で業務を覚え、独り立ち後も週1回の振り返り面談で疑問を解消できます。
やりがいのある仕事です。成長できる環境があります。
担当したお客様から指名で相談が来るようになるのが最初の目標です。早い人で入社半年、平均1年ほどで到達しています。
この考え方は求人票にもそのまま応用できます。詳しくは応募が集まる求人票の書き方で解説しているので、あわせて読んでみてください。
制作の進め方|低予算でできる順に
採用ページは、外部に丸ごと発注しなくても作れます。低予算で始められる順に、進め方を6ステップで整理します。
- 現場ヒアリング:人事だけで書き始めず、まず現場のマネージャーと若手社員に「どんな人に来てほしいか」「この仕事の大変さと面白さ」を聞きます。ここで集めた生の言葉が、ページ全体の素材になります
- 構成づくり:前章の8コンテンツをベースに、自社で用意できるものから優先順位をつけます。最初は「募集要項・仕事内容の1日・社員紹介1名・応募フロー」の4つで十分です
- 社員インタビュー:候補者に近い属性の社員に1時間ほど話を聞き、Q&A形式でまとめます。きれいな文章に整えすぎず、話し言葉のニュアンスを残すほうが読まれます
- 写真撮影:素材集の写真は使わず、実際のオフィスと社員を撮ります。スマホ撮影でも、自然光の入る場所で普段の仕事風景を撮れば十分です
- 公開:完璧を待たずに公開します。既存のホームページ内に採用ページを1枚追加する形でも、まったく問題ありません
- 更新:公開後に情報を追加・修正していく前提で運用します。作って終わりにしないことが、外注で豪華に作るより重要です
外注する場合も、先にステップ1〜2を自社でやっておくと依頼内容が明確になり、費用対効果が大きく変わります。
公開後の改善で応募率はさらに上がる
採用ページは公開してからが本番です。次の4つを回して育てていきましょう。
- 応募者に「どこを見たか」を聞く:面接の冒頭で「採用ページはご覧になりましたか。どこが印象に残りましたか」と聞くだけで、効いているコンテンツと読まれていないコンテンツが分かります
- 面接での反応を記録する:候補者から繰り返し出る質問は、ページに答えが書かれていない証拠です。よくある質問に追加していきましょう
- 更新頻度を保つ:募集要項や制度の変更は即時反映、社員紹介や写真は半年に1回の見直しを目安にします。古い情報の放置は、それだけで信頼を損ないます
- スカウトや媒体と連動させる:スカウトメールに「詳しくは採用ページの社員インタビューをご覧ください」と導線を張ると、限られた文字数を補えます
特にスカウトとの連動は、ダイレクトリクルーティングに取り組む会社ほど効果があります。スカウト文面そのものの改善は返信率が上がるスカウトメールの書き方で詳しく解説しています。
採用ページに関するよくある質問
採用ページは求人媒体に出稿していれば不要では?
媒体の求人を見た候補者の多くは、応募前に会社名で検索して採用ページを確認します。媒体は文字数やフォーマットに制約があるため、仕事内容の詳細や社員の雰囲気までは伝えきれません。採用ページは媒体の代わりではなく、媒体からの流入を応募に変える受け皿として機能します。
社員数が少なく、載せられるコンテンツがありません。どうすれば?
小規模な会社ほど、社員一人ひとりの仕事や1日の流れを具体的に見せられる強みがあります。全項目を揃える必要はなく、募集要項・仕事内容の1日・社員紹介1名・応募フローの4つから始めれば十分です。少ない情報でも、具体的であれば候補者には伝わります。
採用ページはどのくらいの頻度で更新すべき?
募集要項や制度が変わったときは、その都度すぐに直すのが大前提です。それに加えて、半年に1回程度は社員紹介や写真を見直しましょう。何年も前の情報が残っていると、候補者に「採用に本気ではない会社」という印象を与えてしまいます。
まとめ|「会社の説明」から「働くイメージの提供」へ
応募が集まる採用ページの本質は、会社を立派に見せることではなく、候補者が「ここで働く自分」を具体的に想像できる材料を渡すことです。媒体から来た候補者が知りたいことに答え、抽象語を行動に置き換え、良いことだけでなく大変さも正直に書く——この姿勢が、20代の候補者の信頼と応募につながります。
まずは募集要項・仕事内容の1日・社員紹介・応募フローの4つから始めて、候補者の反応を見ながら育てていきましょう。完璧に作ることより、更新し続けることが大切です。
「作ったのに応募につながらない」という場合は、若手採用のプロに相談するのも一つの方法です。
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キャリアアドバイザーからのコメント
企業の採用支援をしていると、「採用ページを見て志望度が上がった」という20代の声を本当によく聞きます。彼らが挙げるのは決まって、デザインの豪華さではなく「若手社員のインタビューが具体的だった」「大変なことも正直に書いてあった」という点です。
逆に、ページの内容と面接で聞いた話が食い違うと、内定を出しても辞退につながります。採用ページは「盛る場所」ではなく「約束を書く場所」と捉えると、書くべきことが自然と定まりますよ。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・第二新卒採用の企業支援を担当