不採用通知は「採用ブランド」の一部
不採用通知は、単なる事務連絡ではありません。応募者にとっては、その企業から受け取る最後のメッセージです。選考中にどれだけ良い印象を積み上げても、最後の断り方が雑であれば、記憶に残るのは「雑に扱われた」という感情だけになります。
特に避けたいのが、不採用者には連絡をしない、いわゆる「サイレントお祈り」です。放置された経験は口コミサイトやSNSを通じて広がりやすく、次の応募者の意思決定に影響することも珍しくありません。
不採用にした応募者は「いなくなる人」ではない
- 将来の応募者:数年後、経験を積んで再応募してくれる可能性がある
- 将来の顧客:BtoCはもちろん、BtoBでも取引先の担当者として再会することがある
- 紹介者・発信者:友人に自社を勧めてくれるか、悪い評判を広げるかは対応次第
つまり不採用通知は、採用ブランドへの投資でもあります。「落ちたけれど、対応は誠実だった」と思ってもらえる断り方を、仕組みとして持っておきましょう。
不採用通知を送るタイミングと手段
文面の丁寧さ以前に、応募者の印象を最も左右するのはスピードです。連絡の後回しは、応募者の時間を奪う行為だと考えましょう。
選考段階ごとのタイミングの目安
- 書類選考:応募受付から1週間以内を目安に。選考に時間がかかる場合は、その旨を先に一報しておく
- 面接後:面接翌日から数日以内が望ましいとされます。「1週間以内にご連絡します」と面接時に伝えたなら、必ずその期限内に送る
- 最終面接後:応募者が最も結果を待っている段階です。社内決裁に時間がかかるなら、途中経過だけでも連絡する
結果が遅れるほど、応募者は宙づりの状態に置かれます。連絡期限をあらかじめ伝え、それを守ることが、最も基本的な誠実さです。
手段はメールが基本
不採用通知の手段は、メールが基本です。記録が残り、応募者も人前ではなく自分のタイミングで確認できます。最終面接まで進んだ方には、メールに加えて電話で一言お礼を伝えると、より丁寧な印象になります。
転職エージェント経由の応募の場合は、応募者に直接連絡するのではなく、エージェントの担当者を通じて結果を伝えるのがルールです。差し支えない範囲で判断のポイントを共有しておくと、次の候補者のマッチ度も高まります。
不採用通知の基本構成は5つの要素
文面は凝る必要はありません。次の5つの要素を、この順番で簡潔に書くのが基本形です。
不採用通知メールの基本構成
- 1. 応募への感謝:数ある企業の中から応募・来社してくれたことへのお礼
- 2. 選考結果:婉曲にしすぎず、「今回は採用を見送らせていただく」と明確に伝える
- 3. 理由の扱い:「慎重に検討を重ねた結果」など、選考に真摯に向き合ったことが伝わる表現に。個別理由の開示は原則不要
- 4. 今後への言葉:応募者の活躍を祈る一文。定型でも、あるとないとでは印象が大きく違う
- 5. 応募書類の取り扱い:返却するのか、責任を持って廃棄するのかを明記する
注意したいのは、結果をぼかさないことです。遠回しな表現を重ねると、かえって「結局どちらなのか」と応募者を混乱させます。結果は明確に、言葉は丁寧にが原則です。また、件名は「選考結果のお知らせ」程度にとどめ、件名に「不採用」と書くのは避けましょう。受信一覧で他人の目に触れる可能性への配慮です。
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そのまま使える不採用通知の例文4つ
選考段階別の例文を4つ紹介します。かっこ内を自社の情報に差し替えて使ってください。面接で話した内容に触れる一文を加えると、定型文の印象がやわらぎます。
例文1:書類選考後の不採用通知
件名:選考結果のお知らせ(会社名)
- 〇〇様
- この度は当社の(職種名)にご応募いただき、誠にありがとうございました。
- ご提出いただいた書類をもとに社内で慎重に検討いたしました結果、誠に恐縮ながら、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。ご期待に沿えず、申し訳ございません。
- なお、ご提出いただいた応募書類は、当社にて責任を持って廃棄いたします。
- 末筆ながら、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
例文2:一次面接後の不採用通知
件名:選考結果のお知らせ(会社名)
- 〇〇様
- 先日はご多忙のところ、当社の面接にお越しいただき誠にありがとうございました。〇〇様のお考えを直接伺うことができ、有意義な時間となりました。
- 面接の内容をふまえ社内で慎重に検討いたしました結果、誠に残念ながら、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
- 貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、ご期待に沿えない結果となりましたことをお詫び申し上げます。
- 〇〇様の今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
例文3:最終面接後の不採用通知
件名:選考結果のお知らせ(会社名)
- 〇〇様
- この度は、最終面接までお進みいただき、複数回にわたり貴重なお時間を頂戴しましたこと、心より御礼申し上げます。
- 役員を含め社内で慎重に協議を重ねました結果、誠に恐縮ではございますが、今回は採用を見送らせていただくという結論に至りました。
- 今回の結果は、あくまで現在の募集ポジションとの兼ね合いによるものであり、〇〇様のご経験やお力を否定するものでは決してございません。
- 今後、別のポジションで改めてご案内を差し上げる可能性もございます。〇〇様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
例文4:エージェント経由・辞退者へのお礼
エージェント経由の場合、応募者への通知はエージェントが行います。また、応募者側から辞退の連絡があった場合も、黙って処理せず、お礼の一文を返すと印象が残ります。
件名:Re: 選考辞退のご連絡
- 〇〇様
- ご連絡いただき、ありがとうございます。ご事情、承知いたしました。
- この度は当社の選考にお時間をいただき、誠にありがとうございました。面接では私どもも多くの気づきをいただきました。
- 新天地でのご活躍を心よりお祈りしております。またいつか、何らかの形でご縁がありましたら幸いです。
不採用の理由は伝えるべきか
応募者から「差し支えなければ、不採用の理由を教えてください」と聞かれることがあります。結論から言うと、個別の理由は開示しない方針の企業が多く、それ自体は問題ありません。「総合的に判断した結果」という回答は、トラブルを避けるうえで合理的な運用です。
一方で、最終面接まで進んだ方やエージェント経由の応募では、可能な範囲でフィードバックを返すと、応募者の次の活動に役立ちます。伝える場合は、次の点に配慮しましょう。
- 人物評価ではなくポジションとの適合性として伝える:「〇〇の経験がより長い候補者を優先した」など、本人の否定にならない切り口にする
- 断定的・感情的な表現を避ける:「コミュニケーション力が低い」ではなく、「当社の求める〇〇の場面での経験が今回は不足していた」と事実ベースにする
- 本人の適性・能力と無関係な事柄には触れない:性別、家族構成、出身、思想信条などを理由にするのは差別につながります。そもそも選考基準にしないことが大前提です
理由を伝える・伝えないの方針は、担当者ごとの判断にせず、社内でルールとして統一しておくことが重要です。
やりがちなNG例と改善のポイント
ありがちな失敗は「冷たい」「遅い」「上から目線」の3つです。
NG1:事務的すぎて冷たい
選考の結果、貴意に沿いかねる結果となりました。ご了承ください。
先日は面接にお越しいただきありがとうございました。慎重に検討を重ねました結果、誠に残念ながら今回は採用を見送らせていただきます。貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、ご期待に沿えず申し訳ございません。
感謝とお詫びの一文があるだけで印象は大きく変わります。「ご了承ください」のような突き放す締め方は避けましょう。
NG2:連絡が遅い・期限を破る
面接で「1週間以内に連絡します」と伝えたまま、3週間後に不採用メールを送る。
期限内に結果が出ない場合は、「選考に時間を要しており、〇日までにご連絡いたします」と途中経過を先に送る。
応募者が最も不信感を抱くのは「約束が守られないこと」です。遅れが分かった時点での一報をルール化しましょう。
NG3:上から目線の言い回し
あなたのスキルでは当社の水準に達していないと判断しました。今後の研鑽に期待します。
今回の募集ポジションで求める経験との兼ね合いから、採用を見送らせていただきました。〇〇様のお力を否定するものではございません。
不採用の判断は「自社のポジションと合わなかった」ことであって、応募者の人格を裁く場ではありません。評価者の立場で見下すような文面は、企業の品位を下げるだけです。
応募書類の返却と個人情報の取り扱い
不採用通知とあわせて整理しておきたいのが、応募書類の扱いです。履歴書や職務経歴書は重要な個人情報であり、法令に基づき適切に管理・処分することが企業の責任です。
- 返却か廃棄かの方針を決めておく:どちらの場合も、その旨を不採用通知に明記します
- データも含めて管理する:メール添付や採用管理システム上のデータも個人情報です。保管期間と削除のルールを定めておきましょう
- 選考以外の目的に使わない:本人の同意なく他の目的に流用しないのが原則です
細かな運用は企業によって異なるため、詳細は厚生労働省などの公式情報で最新の内容を確認し、自社の規程に落とし込んでください。
不採用通知に関するよくある質問
不採用通知は電話とメールどちらで送るべき?
基本はメールで問題ありません。記録が残り、応募者も自分のタイミングで確認できるためです。最終面接まで進んだ方など、選考に長く時間を割いてもらった場合は、メールに加えて電話で一言添えると、より丁寧な印象になります。
不採用の理由を聞かれたら答えるべき?
個別の理由は開示しない方針の企業が多く、「総合的に判断した結果」と回答すること自体は問題ありません。伝える場合は、人格の否定にならないよう「今回の募集ポジションとの適合性」に限定し、性別や家族構成など本人の適性・能力と無関係な事柄には一切触れないようにします。
不採用にした応募者に、別のポジションで再度声をかけてもいい?
問題ありません。むしろ「今回のポジションでは縁がなかったが、別の募集では活躍できそう」という人材への再アプローチは有効です。不採用通知の時点で「今後別のポジションでご案内する可能性がある」旨を一言添えておくと、その後の連絡が自然になります。
まとめ|断り方にこそ、企業の姿勢が表れる
不採用通知は、応募者との関係を終わらせる連絡ではなく、企業の姿勢を最後に示すコミュニケーションです。感謝→結果→今後への言葉→書類の取り扱い、という基本構成を型として持ち、期限を守って送る。それだけで、応募者に残る印象は大きく変わります。
選考プロセス全体を見直すなら、面接で聞いてはいけないNG質問や内定辞退を防ぐ内定者フォローもあわせて確認してみてください。
「不採用対応まで手が回らない」という場合は、若手採用のプロに選考フロー全体を相談するのも一つの方法です。
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母集団形成から選考設計、応募者対応の改善まで、20代採用のプロが伴走します。
採用について相談する※サービス内容・料金はお問い合わせください。
キャリアアドバイザーからのコメント
求職者の支援をしていると、不採用の連絡ひとつで企業の印象ががらりと変わる場面を何度も見てきました。丁寧なお断りをもらった20代の方が「あの会社、落ちたけど良い会社でした。求人が出たらまた教えてください」と言うことは、実際によくあります。
逆に、連絡なしや期限破りの企業は、私たちエージェントとしても次の候補者を紹介しにくくなります。不採用対応の質は、紹介会社からの信頼にも直結していると考えてください。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・第二新卒採用の企業支援を担当