媒体選びの前に決めること
「どの媒体がいいですか」という質問には、実は答えがありません。媒体の良し悪しは、誰を採りたいかによってまったく変わるからです。まず次の4点を、担当者の頭の中ではなく、文字にして関係者で共有しましょう。
媒体を選ぶ前に決める4つのこと
- 誰を:年齢層、経験の有無、必須スキルと歓迎スキルの線引き、どんな人柄か
- 何人:1名の欠員補充か、複数名の増員か。人数によって適した手法が変わる
- いつまでに:来月には配属したいのか、半年かけてよい人を探すのか
- いくらで:1名あたりにかけられる上限と、成果が出なかったときに許容できる金額
とくに「誰を」が曖昧なケースが目立ちます。「若くて元気で、できれば経験者」のような要件では、求人票もエージェントへの依頼内容もぼやけてしまい、媒体を変えても「応募が来ない」か「来ても合わない」が繰り返されます。
採用手法の種類と特徴
中途採用で使われる主な手法を、「向いている状況」と「注意点」つきで整理します。それぞれの費用の考え方は中途採用にかかる費用の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
求人サイトに一定期間掲載し、掲載自体に費用がかかるタイプです。複数名の採用や、応募数をまず確保したい場面に向いています。注意点は、応募が来なくても費用が発生することと、原稿の質がそのまま結果に出ることです。
採用が決まった時点で費用が発生するタイプの求人サイトです。掲載のリスクを抑えたい企業や、採用人数が読めない場面に向いています。注意点は、採用単価が事前に見えにくいことです。
エージェントが要件に合う候補者を探して紹介し、採用が決まったときに成功報酬を支払うのが一般的です。1名を確実に採りたい、社内に採用の工数がない、要件が明確で説明しやすい場面に向いています。注意点は、要件と自社の魅力を具体的に伝えないと紹介の質が上がらないことです。「丸投げ」では機能しません。
データベースに登録している候補者に、企業側から直接スカウトを送る手法です。転職を積極的に考えていない層にも届き、知名度に頼らず「なぜあなたか」を伝えられます。注意点は、送信・返信対応・面談設定に継続的な社内工数がかかることです。
自社の社員から知人・友人を紹介してもらう手法です。社風とのミスマッチが起きにくく、入社後の定着にもつながりやすい傾向があります。注意点は、母集団の数が社員数と協力度に依存し、人数を計画的に集めるのには向かないことです。
求人掲載に費用がかからず、地域の求職者に届きやすい手法です。地元での採用や、採用予算が限られている場面で活用できます。注意点は、掲載できる情報量や表現の自由度が限られること、若手の利用者が地域や職種によって偏ることです。
自社サイトの採用ページやSNSで情報を発信し、直接応募を受け付ける手法です。掲載の期限や文字数制限がなく、社員の声や職場の雰囲気を自由に伝えられます。注意点は、それ単体では候補者に見つけてもらえないことです。他の媒体から流入した候補者の受け皿として機能させるのが基本です。
20代・第二新卒の採用で効きやすい手法の考え方
若手採用では、次の3つの軸で自社の状況を整理すると、手法の候補が絞れます。
- 未経験歓迎か、経験者か:未経験歓迎なら応募数を確保しやすい手法、経験者なら候補者を狙って探せる手法が中心になります
- 急ぎか、中長期か:急ぎなら候補者がすぐ紹介される手法、中長期なら自社で母集団を育てる手法が合います
- 社内の運用工数はあるか:スカウトや採用ページの運用は継続的な工数が前提です。兼務担当者だけなら、運用を外に出せる手法を軸にします
| 状況 | 主軸にしやすい手法 | 補完に使いやすい手法 |
|---|---|---|
| 未経験歓迎・複数名・運用工数あり | 求人広告(掲載課金型) | 自社採用ページ、SNS |
| 未経験歓迎・複数名・運用工数なし | 求人広告(成功報酬型) | ハローワーク、リファラル |
| 経験者・1名・急ぎ | 人材紹介(若手特化型のエージェント) | リファラル |
| 経験者・1名・中長期・運用工数あり | ダイレクトリクルーティング | カジュアル面談、自社採用ページ |
| 地元採用・予算が限られる | ハローワーク・公的機関 | 自社採用ページ、リファラル |
第二新卒層の特徴として、「転職サイトに登録はしているが、まだ積極的には動いていない」層が厚いことが挙げられます。この層には待つタイプの求人広告だけでは届きにくく、スカウトやエージェント経由で「声をかけられる」体験が応募のきっかけになりやすいです。
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媒体・手法を比較するときの5つのチェックポイント
候補となる媒体や手法を並べたら、次の5つの観点で比較します。「登録者数」や「導入社数」だけで判断しないことが重要です。
1. ターゲット層との一致
その媒体の利用者に、自社が採りたい層がどれだけいるかを確認します。全体の登録者数が多くても、20代の未経験層が少ない媒体では意味がありません。「自社と似た規模・職種の求人で、どんな層から応募が来ているか」を具体的に聞きましょう。
2. 費用の発生タイミング
掲載時に発生するのか、採用が決まったときに発生するのかで、リスクの取り方が変わります。採用人数が読めない段階では成功報酬型、複数名を確実に採る計画があるなら掲載課金型、といった判断の軸になります。
3. 運用工数
掲載後に何をしなければならないかを、始める前に洗い出します。求人票の更新、応募者への返信、スカウト送信、面談日程の調整。これらを誰が、週に何時間やるのかまで決められないなら、その手法は今の体制には合っていません。
4. 掲載内容の自由度
文字数や写真の枚数、社員インタビューの掲載可否など、伝えられる情報の幅は媒体によって差があります。知名度で勝負できない企業ほど、「どんな人が働いていて、何を任せるのか」を伝える余地があるかどうかが結果を左右します。
5. 効果測定のしやすさ
閲覧数、応募数、面接に進んだ数を媒体ごとに把握できるかを確認します。数字が見えなければ、媒体を変えるべきか求人票を直すべきかの判断ができません。
組み合わせ方の実例パターン3つ
1つの手法だけで若手採用を完結させるのは難しいのが実情です。ここでは、中小〜中堅企業で組み立てやすい組み合わせを3つ紹介します。
パターン1:求人広告+自社採用ページ
狙いと注意点
- 狙い:求人広告で候補者の目に触れ、興味を持った人を自社採用ページで「もっと知りたい」から「応募したい」に引き上げる
- 向いている状況:未経験歓迎で複数名を採りたい、社内で採用ページを更新できる
- 注意点:候補者は応募前に必ず会社名で検索します。採用ページが古い、情報が少ないと、求人広告の効果を打ち消してしまいます
パターン2:人材紹介+リファラル
狙いと注意点
- 狙い:確度の高い候補者をエージェントから確保しつつ、社員の紹介で社風に合う人を並行して探す
- 向いている状況:経験者を1〜2名採りたい、採用担当が兼務で工数が限られる
- 注意点:エージェントには「ペルソナ」「任せる仕事」「入社後のキャリア」を具体的に伝えること。リファラルは紹介者が気まずくならないよう、選考の進め方と結果の伝え方を事前に決めておくこと
パターン3:スカウト+カジュアル面談
狙いと注意点
- 狙い:転職を迷っている層にスカウトで声をかけ、選考ではないカジュアル面談で関係を作ってから応募につなげる
- 向いている状況:中長期で母集団を育てたい、現場社員が面談に出られる
- 注意点:スカウトを一斉送信にすると返信は来ません。スカウトメールの書き方とカジュアル面談の進め方をセットで設計してから始めましょう
いずれのパターンも、最初から3つ以上の手法を並行させないことがポイントです。主軸1つと補完1つに絞って結果を見てから、足すか入れ替えるかを判断しましょう。
出しても応募が来ないときの見直し順
「掲載したのに応募が来ない」とき、真っ先に媒体を疑いたくなりますが、順番が大切です。媒体を変える前に、次の順番で自社側の要因を確認してください。
- 求人票:冒頭で「誰に向けた求人か」が伝わっているか、仕事内容が具体的か、必須条件を盛りすぎていないか。閲覧はされているのに応募がないなら、原因はほぼここです。応募が集まる求人票の書き方を参考に見直しましょう
- 採用ページ:候補者は応募前に会社名を検索します。採用ページが存在しない、情報が古い、社員の姿が見えないと、応募の直前で離脱します。採用ページの作り方で受け皿を整えてください
- 選考スピード:応募はあるのに面接まで進まないなら、返信の遅さや日程調整の煩雑さが原因の可能性があります。20代の候補者は複数社を並行して受けており、対応が遅い企業から順に辞退されます。面接辞退・選考辞退を防ぐ方法で対応の流れを見直しましょう
- ターゲット設定:ここまで直しても動かないなら、要件そのものが市場に合っていない可能性があります。必須条件を減らす、対象を未経験に広げる、給与や働き方の条件を見直すなど、「誰を」に戻って再設定します
この4つを見直しても閲覧数自体が伸びないなら、そのとき初めて「媒体のターゲット層が合っていない」と判断できます。
求人媒体に関するよくある質問
求人媒体は何種類くらい同時に使うべき?
最初は2つ程度に絞るのが現実的です。数を増やすほど求人票の更新や応募者対応の工数が分散し、どれも中途半端になりがちです。まず主軸となる手法を1つ決め、補完する手法を1つ足して結果を見てから、増やすか入れ替えるかを判断しましょう。
掲載課金型と成功報酬型はどちらを選べばいい?
採用人数と確度で考えます。複数名を採用したい、あるいは求人票を磨く運用力がある企業は掲載課金型が合いやすく、1名を確実に採りたい、社内に運用工数がない企業は成功報酬型が合いやすい傾向があります。費用の考え方は中途採用にかかる費用の記事もあわせて参考にしてください。
小さな会社でも人材紹介やスカウトは使える?
使えます。むしろ知名度で応募を集めにくい企業ほど、候補者に直接届く手法との相性はよいと言えます。ただし、エージェントには自社の魅力と要件を具体的に伝える、スカウトは一人ひとりに書く時間を確保する、といった「使い方」が結果を左右します。
まとめ|媒体は「選ぶ」より「組み合わせて検証する」
求人媒体選びで失敗する原因の多くは、媒体そのものではなく、「誰を・何人・いつまでに・いくらで」が決まっていないこと、そして1つの手法に結果を求めすぎることにあります。主軸と補完の2つを組み合わせ、数字を見て入れ替えるという進め方に切り替えるだけで、採用活動は安定していきます。
応募が来ないときは媒体を変える前に、求人票、採用ページ、選考スピード、ターゲット設定の順に自社側を見直してください。
「自社にはどの組み合わせが合うのか判断がつかない」「運用する工数がない」という場合は、若手採用のプロに相談するのも一つの方法です。
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若手採用に強い
Career Vision にご相談ください
要件整理から手法の組み合わせ、母集団形成まで、20代採用のプロが伴走します。
採用について相談する※サービス内容・料金はお問い合わせください。
キャリアアドバイザーからのコメント
企業側の支援をしていると、「媒体を3つ変えたが結果が同じ」という相談をよく受けます。原稿を見せてもらうと、どの媒体でもほぼ同じ求人票をそのまま転載していることがほとんどです。媒体を変えても、候補者が読む内容が変わらなければ結果は変わりません。
逆に、1つの媒体で求人票の冒頭と仕事内容の書き方を変えただけで応募の質が変わった例も多く見てきました。媒体の切り替えは、求人票と選考体制を見直したあとの最後の手段と考えるとよいと思います。
Career Vision キャリアアドバイザー
20代・第二新卒採用の企業支援を担当